第2話『惹かれあう二人』
松造の綾小路家での仕事も、あと数日となりました。勝手口で真と偶然に行きあった日から、小梅はまた会うことを期待せずにはいられません。ここに来るのもあと少し・・・。そう思うと、小梅の心は淋しくなるのでした。
真もまた、小梅と会えるのではないかと、小梅がやってくる時間に合わせて出かけることもしばしばでした。いつもは散策などしない庭に出ることもありました。
「そのかんざし、とてもお似合いですね」。小梅は右手でそっとかんざしに触れ、目を伏せました。どのような顔をしていいのか、小梅はわかりませんでした。
松造は、はしごの上からふたりを見ていました。
この仕事が終わったら、真様と小梅が顔を合わせることもあるまい。会うことがなくなれば、真様もお忘れになるだろう、と。
その夜、松造は小梅にこう告げました。
小梅は真に二度と会ってはならない。
父は自分たちと真では住む世界が違うのだということを小梅にわからせようとしたのです。
小梅は、自分は淡い夢を見ていたのだと思いました。その一方で、真摯に自分を見つめる真の瞳の中に、ただの夢とは思えない強さがあるのを感じていたのです。そして自分の気持ちの中にも。
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この物語は近代出版社刊『小梅ちゃん 初恋すとおりい』(林静一著)に収録の「小梅恋物語」(吉元由美著)を抜粋して掲載しております。
原作からの<中略>箇所は
を用いて表示しております。


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